中国語学習のコツ


はじめに

アマチュア中国語学習者(通訳になるとか専門家になるとかではない人)が、
「楽に」「効率的に」「継続できる」中国語の学び方について、
意識すると良いことをまとめます。



中国語単語は覚えにくい!!

中国語単語には、他の言語より多くの属性があります。
意味 , 漢字 , ピンイン , 四声 , 発音 , +(リズム)です。
 (※リズム・・ピンインと四声をしっかり把握していても
   不自然な発音になってしまう場合があります。
   これは、どの音を強調するのか、リズムが抜けているためです。
    例:「学校」=「大小」、「動物園」=「中小大」 )

英語ならば、意味 , スペル , 発音 , +(アクセント) で、
スペルと発音はある程度関連付けて覚えることが出来ます。
中国語は初級では漢字と意味まではある程度覚えられますが、
その後、ピンインと四声と実際の発音とを組み合わせて覚えるのが非常に難しいです。
声調付きのピンインを見ても、正しく発音できない人は多数います。

初学者が、単語帳を丸暗記するような方法で単語を覚える場合、
中国語単語1語は英語の2倍以上の労力が必要でしょう。
そして、漢字を見れば意味は分かるから「覚えた気になった」になりがちです。

しかし、漢字は表意文字であると同時に、基本的には一字に対して1つの音が決まっています。
よって、学習が進めば進むほど、既知の単語との関連付けが強力に効いてきます。

結論①: 漢字で分かるので、覚えた気になりがちだが、
      実際は覚えるべき属性が多く、把握出来ていないことが多い。
      最初にしっかり把握して、関連付けが生かせるレベルに進むことが重要。





単語理解ピラミッド

中国語単語には多くの属性があると説明しました。
このことから、「部分的に覚えている」という状態、
特に日本語には無い概念である「四声」だけ把握していない、
という状態などが出てきてしまいます。
また、漢字を見れば分かるがピンイン/発音は分からない、などの状態もあります。
 (※四声が分からないから4回言う、などの人、お心当たりは?)

大雑把に言えば3段階の壁があります。
「意味のみ理解」 < 「意味&ピンイン理解」 < 「意味&ピンイン&四声理解」
        
レベル 概要 理解
圏外 完全に不明 完全に0
聞いたことがあるかもしれない。
理解0だが完全に未知とも少し違うという程度
理解ほぼ0
聞いたことがある、意味の予想もできる
(上級者:音から漢字を推測して意味が分かる場合も)
意味からしてアヤシイ
  ↓意味は理解した/知ってはいる↓ ≡≡意味の壁(薄い)≡≡ 
聞いて意味は大体分かる
漢字を見れば分かる
ピンイン&声調あやふや
大体意味も分かるが、辞書で確認したい
聞いて意味が分かる(出た直後なら反射利用可能)
考えれば出てくるかも、という単語
ピンインは大体分かっている
意味も把握
  ↓ピンインは分かったのでおおよそ聞き取れる↓ ≡≡ピンインの壁≡≡ 
語句を聞き取れる。(会話中反射的なら利用可能)
意識すれば使える
声調はあやふや
全体的に少し自信が無い
自ら使える(通じない時もある) 声調があやふやだったり、
あまり使いこなしたことのない語句
  ↓四声やリズム、利用シーンもおおよそ把握↓ ≡≡声調と発音の壁(実は厚い)≡≡ 
自ら使える
(自然さや微妙なニュアンスなどに自信が無い時も)
既知の単語、と言える状態
自ら自信のある発音で使える 全て理解
(他の語句を覚える資源になる単語)


どんな言語の単語でも、自ら使える・聞いて分かる
などの理解の差はあると思いますが、中国語の場合、
日本人にとってはその差が広がりがちなのです。
「中国語単語達人」などのソフトで四声選択問題を実施すると、
この階層の存在を実感していただけると思います。
うろ覚えになっていないか、これらの壁を意識することがコツの一つです。

結論②: 「意味のみ理解」 < 「意味&ピンイン理解」 < 「意味&ピンイン&四声理解」
      という三段階の壁があり、本当に「把握」したか自己チェックすると良い





単語理解ピラミッドの性質

さて、単語理解の階層において、重要な性質があります。
 ◆1~4までの最下層の理解は「消えやすい」
 ◆7~8の上位層の理解は「他の単語を覚える土台」になる

中国語単語は覚える属性が多いのですが、関連付ければ逆に覚えやすいです。
しかし、下層の理解状態では、関連付けていないために、
非常に忘れやすくなります。

逆に、上位の理解状態であれば、他の単語の理解のための資源として
「土台」とすることが出来ます。
簡単な例:「世界」の語句を完全に把握
 ⇒「世紀」などの同じ漢字を使用する語句を覚える労力が半分。
 ⇒shi4 & jie4 の音の他の語句がより正確に覚えられます。

他の言語でもこういう性質はありますが、中国語では属性が多く、
漢字という複雑な文字を使うために、特にこの性質が強いのです。

結論③: 理解レベルを向上させないと忘れる。
      完全に把握すれば、他の単語も覚えやすくなる。





ピンインと四声から正確に発音可能ですか?

ピンインと四声は発音記号です。
しかし、ピンインと四声を見ても、正確に発音できるでしょうか?
日本人の多くの人が、うまく発音できません。
中国語学習では初期の授業で半年以上みっちり発音勉強をする所もあります。
一度マスターすると音とピンインと四声の関連付けが出来るので、
理解ピラミッドを二段飛ばしで登れて、発音も奇麗になります。
しかし、その方法はとても意思の強い学生と老師と、多大な努力があって初めて成り立ちます。
"飽きる" ほうが "マスターする" より圧倒的に早い方法です。
(多くの大学の授業などでは早々に飽きて、マスターする前に先に行きますね)

こうした「土台」を置き去りに先に進んだ人は、
マスターした語句によって「土台」を補強する必要があります。
すなわち、shi4 の音は?「世界」の「世」の音、といった補強です。
結論④: マスターした語句(レベル7・8)をもとに発音の土台を補強する意識が重要。




伸びる人伸びない人の違い

中国語力が伸びる人と、伸びない人には、学習中の態度に明確な違いがあります。
それは、「単語をスルーしない & 大量投入を意識」ということです。

既に知っている単語で、分かったと思っても、
レベル7・8まで達していないと思えば、敢えて知らない単語として、
ノートに一回書くなり、辞書を見るなり、脳裏に刻むなり、何か意識するというだけのことです。
 (※下層の理解度のままではすぐに忘れて消えていってしまいます。)

そして、属性が多いために、一回で全属性を丸暗記することが難しいことも知っています。
敢えて知らない単語として挙げた語句について、
それ以上無理に暗記しようとはしません。
それよりは、もっと大量に単語を投入する方に努力を向けます。

つまり、ルールは2点だけです。
 (1)「知っている気がする単語をスルーしない」
    多くの語句が、マスターレベルまで達していないことを意識し、
    それらの語句が登場するたびに、理解不足の点を確認すること。
 (2)「とにかく大量にINPUT」
    一回で全て覚えるのは難しいので、
    とにかく(1)の量を意識して行うこと。

結論⑤: 「知っている」と思い込まず、全属性を確認する。
      また、忘れても良いのでそれを大量に行う。

       (※これを行うためには、電子辞書を常に携帯することが便利です。)





具体的な学習方法

もう一度最初の前提に戻って、アマチュアにとっては、
「楽に」「効率的に」「継続できる」方法でなければ意味がありません。
結論①~⑤までに記載のことを意識しながら、以下の3点セットを実践してみてください。

 ●大量INPUT用:
   ・中国語ジャーナルなど、音声付CD雑誌
      本文を見ながらひたすら聞くだけ。
      とにかく潜在意識に大量に単語を投入します。
 ●理解レベルの向上用/ボキャビルディング用
   ・中国語単語達人(学習ソフト)  (中国語学習電脳情報主頁
      ゲーム感覚で、意外と知らなかった四声も意識しながら、
      個々の単語の属性の完全把握へ、最も超えにくい「四声の壁」を超えます。
 ●OUTPUT/実践定着用:
   ・実践会話
      実際に使うことで完全定着。他の語彙の土台にします。




以上です。


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